答案返却

問５

問５　下線部５「スペクターが～全焼してしまった」について、何があったのか説明せよ。（６点）

要するに「なぜ風が吹くと桶屋が儲かるのか」を書け、という問いだった訳ですが。

とやぷぅ君の答
桶屋が儲かった 　＋２

それだけ書かれても困ります。

フリーマンＤ-5君の答
なんもねぇ！ 　＋１

そうだね。

よよてん君の答
あ～んなことやこ～んなこと（すいません書けませんでした） 　＋１

鈴木杏やブラザーコーンなことでしょうか。牧野アンナという手も。

それはそうと、この問いでカブリは出ないだろう、と思ってたんですが、意外に多かったですね。

とーｃｈａｎ君の答
つまずいてこける瞬間に、実はパウダーイーターが浮遊していたので戦闘開始判定が、発動。この時に、スペクタ－が、ＳＴ５４・ＨＰ６１と、なったため巨大化。（当然パウダーイーターはとっくに逃亡。粉食ってただけだし）一方そのころ隣の家に忍び込んでいたのがシーフで、窓から巨大化したスペクタ－を見て仰天。何を思ったか、手にもっていた戦利品（？）のファイアーボルトを使用。→結果火事に（この時バルダンダースは、このシーフに気がついていたが、見なかったことにしていたため後に職質を受ける羽目に）　＋２

ケツァル君の答
スペクターがつまずき、倒れた場所にパウダーイータがいたために戦闘開始。おばあちゃんの形見であるプロテウスリングを偶然つけていたスペクターがファナティックに変身、パウを撃破する。しかしプロテウスリングが古かったせいか、おばあちゃんの呪いのためか、戦闘終了後も変身は解けなかった。昔からファナティックが大嫌いだったスペクターは我を忘れ、領地能力を隣家に向かって発動。あせったバルダンダース達は領地能力で死んでしまったスペクター（ファナティック）をレイスデットを使用して復活させる。レイスデットの衝撃か、おばあちゃんの許しが出たのか、運良くプロテウスリングの呪いは解けスペクターは元に戻ることができた。しかし、隣家はそのまま燃え、全焼してしまった・・・・・　＋１

始まりは同じなのにストーリー展開が違いすぎるのが良いですね。

バジリコ君の答
転んでしまってエルフに抱きついてしまい、とっさのことにエルフがびっくりしてビンタ。きりもみ状にすっとんで行き、オルメクくんに激突。オルメクくんが若干崩れ、その崩れた破片がバルダンにめりこみ、その反動でバトルギアαに変身。空に飛んでいき、飛行中のヘリに激突。隣家に墜落しそうになるが、　若干落下地点がずれ、近くの川に墜落。ことなきを得る。出火の原因は見ていたオルメクくんのタバコのポイ捨て。　＋２

世代交ＴＡＩ君の答
スペクターがつまずく
→エルフに抱きつく
→驚いたエルフは、スペクターを投げる
→オルメクの方に飛んできたので、オルメクは冷や汗をかく
→喉が渇いたオルメクは冷蔵庫からコーラを取り出す
→コーラの蓋が勢いよく飛び出して私にＨｉｔ
→私は宇宙まで飛んでＵＦＯと衝突
→ＵＦＯは地球からの攻撃と勘違いして報復
→このままでは、我が家が危ない！
→変身で宇宙人を驚かせたので、少し座標がずれる
→隣の家が全焼する　＋１

みんなエルフをやっぱりエロの対象として見ているんですね。安心しました。

せぷた３４６君の答
テーブルの下で眠っていたクエイクビーストが驚いて領地能力発動、隣は火属性だったため出火。バルダンの家は水属性だったので延焼は免れた。 　＋２

カチモリ君の答
スペクターがつまずいた拍子にプロテウスリングが落ちてきて、スペクターがクエイクビーストに変身してしまった。間違って領地コマンドをして地震を起こしてしまったら、隣に住んでるドモビー家の暖炉から火が燃え広がってしまった。これが俗に言う「ドモビーハーの悲劇」です。頑張れニッポン！　＋１

せぷた３４６君、クエイクビーストは火事を起こすクリーチャーじゃないですよ。カチモリ君、時期が微妙にずれていい感じです。

３時のおやつ君の答
躓いた拍子に物凄くベタなドクロマークのボタンを押してしまったため 　＋４

きむを君の答
テーブル中央のボタンを押してしまったため 　＋３

この回答好きなんだけど、まさか２人いるとは…。惜しいです。

カッパ君の答
たまたまバードに変身してたまたまフレイムタンを持っていたバルダンにスペクターがぶつかったため、隣の家に飛んでってあえなく全焼。 　＋２

ビエネッタでも切るつもりだったんでしょうか？

永野博士君の答
スペクターがつまずいたと同時に隣家に住むボージェス(５３)さんがつまずき、そのひょうひに手にもっていた松明が燃え移った。 　＋２

表皮に燃えうつったらそりゃ大変ですよ。

エムル君の答
スペクター転倒
→大音響
→外にいたフードラム「ッたく、むしゃくしゃするな。放火でもするか。ん、何だ、人が居るじゃないか。仕方無い、あっちにしよう。」
→隣家全焼　＋２

フードラムは臆病者という設定がちゃんと生きていますね。

エセプターまさきち君の答
テーブルに足の小指をぶつけたスペクターが痛がっている隙にバルダンが放火 　＋２

マサオサダ君の答
スペクターがテーブルの角につまずいた拍子に放火 　＋２

意見が食い違っています。ディベートすると吉。

うなむ君の答
マリ○が冗談でバルダンダース家へファイアーボールを放ったが、スペクターHP70の倒れた拍子に軽い突風が吹きつけ隣のうちへと方向がかわってしまった。マ○オは逃げ出した。そう犯人は○リオだ！！　＋２

マオリ族ってどこの種族でしたっけ。

のりっち君の答
スペクターがテーブルの角に足をぶつけてケガをしたのだが、バルダンダースの家には、ばんそうこうが無く、４人で隣家に侵入して捜索。その際、エルフの吸っていたタバコが、カーペットに引火。全焼。　＋２

買え。

Ｒ－ヲカダ君の答
スペクターが転んだ時に思わず上げた声が、テロリストの暗号になっていて、たまたまスイッチが入っていたバルダンダースの家の無線機でテロリストに送信され、航空機が隣の家に突っ込んだ。　＋２

「トラ！トラ！トラ！」ですか。もしくは「鮫！鮫！鮫！」ですか。

ぷちなん君の答
スペクター躓く
→エルフの飲みかけの青汁蹴飛ばす
→慌てて拭いたら自分の上着
→水洗い後、携帯がポケットに入っているのに気づく
→マズい、使えるかな・・・
→スペクター「あのさ～、俺の携帯にチョット掛けてみてよ～」
→着メロ「愛のうた」が響く
→オルメク「いいね～、ピクミン。キューブやろうか。スマブラ有るかな」
→エルフ「あら、私はウェーブレースがイイな・・」
→スペクター「うん、ウェーブレースは良いね」
→オルメク「ところでバルダンはドコいった？」

ここで大事なことはＧＣのウェーブレースは素晴らしいということであり、バルダンが会話の間、隣の家の裏で古新聞に灯油掛けてタバコの燃え差しを捨てたなんてことは些細な問題。　＋２

そのゲーム、存在自体忘れてましたね。

あいる君の答
スペクターがテーブルの角にぶつかった瞬間「スペクター(69/11)vsコーナーオブテーブル（0/50）」の戦闘が発生、スペクターはぶつかった際に落としたヘルブレイズの巻物を読み、コーナーオブテーブルはテーブルに置いてあったメイガスミラーを使った為隣りの家に反射で引火、見事強打を披露する。　＋２

毎朝メイガスミラーを見ながら化粧とかしてたんでしょうか。

ハーミット君の答
スペクターがテーブルの角につまづいた拍子に、バルダンダースに向かってウェスタンラリアットをかまし、それを直撃されたバルダンダースが反射的に「やメテオ～」と言ってしまったため。　＋２

「やテンペ～」とか言わなくてよかったですね。

キト君の答
テーブルにあったダイナマイトとライフジェムが落下、爆発 　＋２

置いとくなよ。

ぶるうすリーチ君の答
つまづいて摩擦で火花が散った途端にパーティ用のタイムボムに着火し、使えないアイテム古今東西をしながら４人で手渡しゲームがスタートした。３周回ったところでオルメクが降参しリンカネで隣家に投げ捨てた。　＋２

その挙げられた１２個とはおそらく、フェニックスアムル→ベルオブロウ→ニュートラアムル→ナイトシールド→ベルオブカオス→ナイトシールド→フェニックスアムル→ニュートラアムル→ニュートラアムル→ベルオブロウ→ニュートラアムル→ベルオブロウだったに違いありません。

ケムリ君の答
スペクターが自然発火した 　＋２

炎のシュレン「五車炎情拳」ですね。

ゼファーの答
スペクターがテーブルの角につまずき、足の小指を負傷
→スペクターに足があることが発覚
→足のある幽霊としてワイドショーで取り上げられ、一躍有名人に
→バラエティ番組などにも登場し、素人離れした馬鹿さで人気沸騰
→「拝啓　ガルーダ様」「ルビーリング」など、歌まで出してしまい、大ヒット
→新曲「ダイナマイトに火をつけて」発売
→誰かが間違ってダイナマイトに火をつけて
→隣の家が全焼してしまった
　＋２

「ルビーリング」は10週連続１位とかになるでしょう。

ｋｔｆ君の答
スペクターつまづく。
＞バルダンダース「はは、そんなとこにつまづくなんて、おっちょこちょいだなあ」
＞全焼　＋２

これが「２００１年宇宙の旅」でも使われた「省略法」ですか。

ぐれむりむ君の答
バランスを崩してベランダの戸に手をかけるも、カギをかけていなかったためガラガラと開いてしまい、そのままベランダへ転倒。隣家の屋根の上を優雅にお散歩していたホムンクルスに笑われ痛いのと恥ずかしいので頭に血がのぼっていたスペクターはバルダン達の静止も振りきりストリートファイトに。ホムンクルスの時点でオチはお分かりでしょうが、やっぱり３回目の戦闘だったというお話。　＋２

２回戦闘したホムンクルスはぜひとも監禁しておきたいですね。

ウッズ（J)君の答
バルダン愛用のクイーントーチが倒れテーブルクロスが危ないと思ったところに偶然通りかかったリトルグレイがテーブルクロスを飛ばしてくれていと安心だと思ったら隣の家にストライクだった。（実戦でもリトルグレイ飛ばしが隣にしか動かずで即奪還はありそう）　＋２

リトルグレイの戦闘時にセプターが「光れ！」と叫ぶのは傍から見ていると非常に滑稽ですが、僕の友人の「持っていけ！」はさらに滑稽です。

Max.M.Mine君の答
愛するパルダンダースを奪われたことを恨むドモピー(ST=10)。スペクターを亡き者にしようつまずいた隙を狙ってダイナマイト(ST=60)を持って突っ込んだが、目測を誤り、ホーリーワードＸで隣の家に突っ込んでしまった。　＋２

ホーリーワードＸで目測を誤るのはもはや世の常ですな。

破壊的セプター君の答
全米NO．１ヒットのスペクタクルな興奮と感動により出火。 　＋３

全米NO．１ヒットのスペクタ来る。初来日です。

マトス君の答
つまずく
→スペクターのＳＴ上昇、ＨＰ下降
→僕の髪が肩まで伸びる
→生態系のバランスに影響が出る（この時ミミックやレジェンドといったクリーチャー達が多く絶滅）
→それによって地軸がもうちょこっと傾く
→日本が夏になる
→虫眼鏡で紙を燃やしやすくなる
→全国のちびッこが虫眼鏡を持つ
→あゆモデル虫眼鏡発売
→マッチが売れなくなる
→トシちゃんを見なくなる
→そんな二人が出会う→仲良く放火　＋３

野村義男もそのとき絶滅しましたか。

高城蘿蔔君の答
テーブルの角に躓く
→スペクター壁に激突
→と思いきや、開いていた窓から外へ
→向かいの銭湯に突っ込む
→なにくわぬ顔で一番風呂につかり、ゆったりすごす
→そんな暇がないことに気付きあわててバル家に戻る
→途中でポケットに忍ばせておいたフレイムロードを落っことす
→忘れられた王様激怒
→バル家は耐火耐水処理ばっちりOKなので被害は隣家に。めでたしめでたし。　＋３

１匹目、取り出した♪　って感じですね。

TOUMA君の答
つまずいた拍子にライフジェムをつかんでしまい、ついでに痛さのあまり転がり回ったあげくいい感じのＨＰの減り具合になってお隣さんに到着。 　＋３

お隣さんに到着するまでに、ボディプロップやクリフハンガー、パイプスライダーなどがあったと思われます。

松岡君の答
古い木造家屋だったのでごく普通に全焼した。 　＋４

そういうことを聞いているんじゃありません。

ＮＯ．００１君の答
俺がテーブルに足をぶつけてしまった拍子で、テーブル上のものがあちこちに散乱してしまった
。
「おい、人ん家のモン勝手に荒らすなよ」
バルダンダースが、隣の部屋から首だけ覗かせて怒っている。
「すまん、すぐ片付けるよ」
俺は、散らばったものに対して手当たり次第に手を伸ばした。

一冊のノートが目に入った。
中を適当に流し読みをしてみる。主観的な文体や日付が入っているところを見ると、どうやら日
記のようだ。
「バルダン、お前、日記なんかつけてんのか？」
隣の部屋に向けて話すが、返事が無い。声が届いていないようだ。
盗み見る気はなかった。ただ、手は自然にノートを開き、目は自然に文を追っていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　＊

６月２４日、晴れ。

若干の光が差し込む廃ビルの２階で、俺は床に叩きつけられた。
俺を適当に殴りつけた男は、青臭い笑みを浮かべながら「金を出せ」という意味のことを小汚い
表現で言った。
腹立たしさよりも、恐怖が勝った。俺は財布を内ポケットから差し出す。
仰向けの体勢から掲げるようにして伸ばした手から、男は財布ごと抜き取り、札束だけを取り出
して残りをこちらに放り投げた。
体の節々が軋む。畜生。
俺は、戻ってきた財布に手を伸ばす。
男は、目の前の金だけに視線を落としながら、俺から遠ざかっていった。
ビルには、男の、場から立ち去る足音だけが響く。
「力しか脳の無いデブが」
小声で言ったつもりだったが、閑静な廃墟の中で発した声は遠くまで通り、男はこちらに向けて
踵を返した。
横腹へ４発、ローキックをくれた。

男が立ち去って５分間、俺は痛みで意識が定まらず、埃とカビ臭さが充満した廃ビルで天井を見
つめていた。
それから更に５分間、まったく動く気がしなかった。
――痛い。
俺が何をした。何をしていてデブに殴られた。
そうだ、俺は学校から帰る途中に寄った商店街の裏路地で、頭の悪そうな男と頭だけ良さそうな
男の２人組に声を掛けられた。奴らは「金をくれ」という意味の事を不細工な言葉で言った。逃
げたが、頭の悪そうな方に捕まり、ここに連れてこられて。
思い出さなければ良かった。
とりあえず、体を起こそう。埃をはらって、逃げる途中に落としたカバンを探そう。
そう思い、体を上半身だけ起こした時。
遠くから、一定のリズムを刻む足音が聞こえる。
デブが戻ってきたのか、と慌てて身構えたが、その音は１０分前よりもずっと弱々しく、歩調も
随分遅かった。
足音が反響する方角へ顔を向けると、薄汚い浮浪者のジジイが居た。
「若いの、どうした？」
「痛いんです」

俺は、ジジイに今までの流れを話した。
「そうかそうか、名も知らぬチンピラに金をせびられたか。ひゃっひゃっひゃ」
ジジイは耳障りな声と呼応させるように、顔の皺を思い切り歪めて笑った。
「力加減の仕方しか脳に入ってない格闘バカです」
俺はジジイの顔を見ずに言った。

３０分ほど話し込むうちに、ジジイの正体が少しずつ明らかになった。
・ジジイはこの廃ビルに住み着いた浮浪者。
・年齢は６０歳前後。
・この廃ビルには、ジジイの他にもう一人棲みついている。
・無職。
・鶏肉好き。

「それで、お前は反抗せんかったのか？」
ジジイは、コンビニで買ったチキンナゲットをグチャグチャに噛み砕きながら言った。
「相手はこちらより一回り大きい肉の塊です。下手に手を出すと、その倍数分殴り返されるだけ
ですよ」
「口だけは達者じゃの。ひゃっひゃっひゃ」
俺は、廃ビルに延々と木霊するジジイの引き笑いに辟易していた。
できるだけ、このジジイとは目を合わさずにいよう。
と、ジジイから目を逸らすよう顔をビルの奥へ向けると、光が殆ど届かない部屋の角に何かが光
るのを見つけた。
まるで生き物の眼球のように鈍く、直線的な光だった。
「あの、あっちで何か光ったんですけど」
「ん、ああ、あれは…」
ジジイは一瞬言葉に詰まったが、
「ワシの飼い犬じゃよ」
と、暗闇の奥に居るはずの生き物に眼を向けて、答える。
「犬…」
その“犬”の眼は、暗闇の中で一点をじっと見つめ、全くの不動。その張り詰めた空気を作る眼
は、とうてい犬の持つそれとは思えなかった。
「本当に犬ですか？」
「本当に犬じゃよ」
ジジイはそう言い、皺を歪めてニタッと笑う。
更に“犬”について問い詰めようとしたとき、
「おーい、爺さん、今帰ったぞ！」
入り口側から野太い声が聞こえた。
「じゃ、俺は邪魔になるんで、これで失礼します」
「ああ、ヒマな時は何時でも話し相手になるぞ」
二度と行くつもりは無かった。

「爺さん、さっきの学生はなんだい？」
「つい３０分ばかり前まで、ここでチンピラにカツアゲされとったそうじゃ」
「ああ、そういや喧嘩弱そうだったな」
「“奴”のことを気にかけとったよ」
「…“奴”か」
爺は“奴”に目をやり、男もその目線を追う。
その延長線上から、一匹の生物が走り寄ってきた。
緑を基調とした身体。生物学的に問題のある、まるで前衛芸術のオブジェのような姿をした獣。
かろうじて「歩行」と呼べる動作を見せていることで、僅かだが生物である事を示している。
「ワシの飼い犬だと言っておいた」
「飼い犬か…」
“飼い犬”は、ジジイに向かって飛びつき、喜ぶように前足（？）で顔を撫で始めた。
「プライベートでこんな生物とは関わりたくないな」
男たちは、疲れた様子で笑った。
「あと少しじゃよ。あと少しで、こいつは“組織”から逃れる事が出来る」
爺は、そう言って獣の頭（？）を撫でまわした。
獣は、それに合わせて皮膚をブヨブヨと気味悪く動かしつづけた。

６月２９日、曇。

俺は例の廃ビルを避けるため、今までの通学路であった道を使うのを止め、大きく遠回りする事
にした。
片道約１０ずつのロスだが、あのデブ男とジジイに会うこととを天秤にかけると、導かれる答え
は明白だ。
時間よりもデブが、ジジイが、“犬”が怖い。

「あのさぁ、学校の帰り道に雑居ビルあるでしょ？そうそう、昔ゲーム屋と街角金融が入ってた
とこ。そこの２階に最近、緑色の化け物が出るって噂、知ってる？いや、私はあんまり信じてな
いんだけどさ、なんかウチの弟がその化け物を見たっていうからちょっと気になってるんだよね
ぇ。こないだ３組の夜田サンも見たって言ってた。それで私も気になってるんだけど、一人じゃ
恐いし…。ワタナベ君、今度、雑居ビルに一緒に付いてきてくれないかな」

俺は重度の埃アレルギーを理由に断った。

夜。
ジジイは、来客に対して露骨に敵意を示した。
敵意の先は、白衣と銀縁眼鏡が印象的な男。暗闇の中で、表情は上手く見えない。
「こんなところにいたんですか。探しましたよ、ハヤタさん」
「探した？“組織”の捜索網に、雑居ビルの浮浪者は含まれんのか」
「建前です」
「…良い返事だ」
ジジイは、いつもの爺むさい口調を消す。
敵は、つとめて冷静にゆっくりと、白衣のポケットから拳銃を取り出す。
「“奴”を私に渡してください。これは脅迫です」
「ほう…。お前のことだから、組織の存在意義と"奴"の奪取目的を小奇麗な言葉でダラダラと
述べるのかと思っとったが」
「貴方がそういう思想犯じみた文体を毛嫌いしているのは、私が最もよく知っています」
「良い返事だ」
両者とも、苦笑いを浮かべた。冷たく、僅かに引きつった苦笑いだった。
「“奴”は？」
「知らん」
ジジイの口が閉じるのと、トリガーが引かれるのはほぼ同時だった。
鈍い銃声の一瞬後に、煙硝と衝撃で舞い上がった埃が交じり合う。
埃が沈殿した時、敵はジジイの姿が眼前から消えた事に気が付いた。
「くそっ」
煙の下から、這い上がるようなジジイの影が見えた。
敵は走り寄る影に向けて３発の銃弾を撃ち込むが、暗闇と硝煙で狙いが正確に定まらない。
ジジイは闇に乗じて、敵の脛を思い切り蹴り飛ばした。
敵は床に転がる。
「…殺しますよ」
「良い返事だ」
敵は、影の先へ次々に拳銃を撃ち放つ。眼が暗闇に慣れたのか、ジジイの動きを肉眼で捉えるら
れるようになってきた。
それでもジジイは暗闇と硝煙と埃をかき回し、肢体を滑らせ敵を掻き乱す。
「もうお疲れですかハヤタさん。それ以下のスピードだったら、確実に当てます」
「そうか」
と言って、ジジイは男に飛びつき、素早く背後に回りこむ。羽交い絞めの体勢から、右手を腕か
ら首に回した。
「あとは頚動脈を締め落とすだけだ」
「くっ」
敵は背後に向けて肘打ちを入れたが、空を切る。
拳銃だ、と敵が気付いた時、それは手から離れ、ジジイの左手に回っていた。
ジジイは敵の首をロックしたまま、拳銃を敵のこめかみに突きつける。
「"組織"のルールです。殺してください」
ジジイはその言葉を待ち侘びていたように、勢いよく引き金を引いた。

「あ」
いつも避けていた道に入り込んでしまったことに気付いたのは、商店街のド真ん中でのことだっ
た。
俺はデブの姿が見えないことを確認し、そして廃ビルを自分の視界に入れないように歩いた。

「　　　　　　　　　　　　　」

不意に、衝撃が聞こえる。
何かが破裂する音。恐ろしく乾いた、危険な音だった。
耳が反応した方向へ体が無意識に向いた。
廃ビルだった。
既に足がビルへ向かっていた。階段を駆け上がっていた。一段ずつ足を踏み出すたびに、脳髄に
足音が叩き込まれるような衝撃を感じた。
そして俺は、そのグロテスクな光景を目の当たりにすることになる。
辺りは血液といくばくかの肉片が飛び散り、埃と血と黴臭さが充満してひどい匂いが立ち込めて
いる。
「あの…、この血だらけの人は？」
「敵」
ジジイは別人のような顔で、“犬”を抱えていた。
そしてそれはもちろん、“犬”では無かった。
「…その生き物はいったい
そこまで喋ったところで、俺は何者かから殴られた。以前のデブとは違う、急所を突いた綺麗な
殴り方だった。

男は気絶させた学生を抱えながら言った。
「どうした、爺さん」
「“組織”が来た」
「この学生か？」
「違う、そっちの血みどろの方だ」
「そうか…」

　　　　　　　　　　　　　　　　　＊

ノートは、ここで終わっていた。
「…おい、何してるんだ？」
バルダンダースが、こちらに向けて顔を覗かせた。
「おい、ちょっと待て、お前そのノート読んだのか！？」
バルダンは慌てて起き上がり、こちらに詰め寄ってきた。
「貸せ！」
俺の弁解を聞く間もなく、バルダンは俺の手からノートを引きちぎるように取り返した。
「悪ィ、目に入ったんでつい読んじゃったけど…。それ、何なんだ？」
「俺の昔話だよ。それに出てくる緑色の“奴”ってのが、俺なんだ」
「…」
「俺には他のバルダンと違って過去が無い。所謂"試験管バルダン"って奴だ。生物学者と科学
者の手によって人工授精を受けた、ハイテク技術の複合でしかない命だ」
穏やかな口調で話すが、目の焦点は合っていない。
過失とはいえ俺は、バルダンの過去に触れてしまった事を後悔した。
「…悪かった」
「毎日バルダンダースの生態を調べる為との名目で、様々な学者のモルモットとしていろんな研
究所をたらい回しにされたよ」
バルダンは、俺の言葉を聞き流しているのか、何も無かったように話を続ける。
「もちろんこれが公に出されれば、生命を愛護する様々な団体から猛抗議を受ける。だから俺は
あくまで『研究材料』として扱われた。あのままだったらきっと、俺は名も知らぬ学者から『処
分』されていたはずだ」
冷たい語気の中で、『処分』という言葉を発する時だけ、僅かばかりの動揺が見られた。
が、
「処分…」
俺に出来る事は、その、生命に使うにはあまりにも事務的で冷たい言葉を、声に出して反復する
ことだけだった。
「それを助けたのが、“ジジイ”だ。この人は研究者として叙情的でありすぎた」
「…」
抽象的な表現だったが、バルダンの言う意味は理解できた。
「これ以上は、俺には分からない。そのノートを書き記したのが誰かも、俺がそのあと、どうや
って今まで無事に生きてこれたのかも」
そう言って、バルダンは床に散らばった物の中からライターを探し出し、ノートに火をつけた。
「…！？」
俺の驚いた表情を察したのか、バルダンは事も無げに言った。
「いいんだ、俺にはもう必要ない。過去を追うのはこれで止めにしよう」
そう言っておもむろに窓を開け、外に向かってノートを放り投げた。
「これでいいんだ。俺に過去は無い。過去を知る必要も無い」
俺は、放物線を描くノートの軌道を、目で追うことしか出来なかった。　＋５

「力しか脳の無いデブ」にぐさりと来ました。

暗空君の答
隣の家の葬式中金に目がくらんでインシネレートをしてしまった。 　＋６

大勢死んだわけじゃないと思うぞ。

（2003/02/24）

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