「まだらの紐」の攻略が始まって何回かスパーをしているうちに直感的に思ったのが、「案外コインとか強そうじゃね？」ということでした。まだらの紐の最大の特徴は、トレスパスが強い・・・・・・ことではなくて、「通行料が取りにくい」ことです。

　通行料が取れないということは増資がハイリスクローリターンであることを意味し、必然的に思考の流れはコインに向かいます。

　そんなわけで適当にアレスコインを組んで２戦ほどスパーしてみたところ、惜敗２位、１位という好成績。お、いけるんじゃね？ということでアレスコインにしてみました。

　もっとも１位の試合は、レベル５の奪い合いの末かむいまるさんがそのレベル５をコロッサスで占拠中に、私が泉で手札を流したら次のターンにセイント・コイン・イントルードというロイヤルストレートフラッシュが炸裂しての勝利だったので、ブックとして強いのかどうかというのは非常に怪しい試合内容だったのですが。

　まあ使ってて面白いしこれでいいやってことで、本番に投入決定。試合後の他の参加者からの「いやあ、本番でアレスコインなんてさすがボイラーズさんですね。僕らには真似できませんよ」などという、敗者に対する哀れみのコメントが脳裏をよぎって仕方がありませんでしたが、無視。

　いいんですよ！　好きなブック使って楽しく対戦できれば！「好きってことは集中してるってことなんだよ」と「おおきく振りかぶって」にも書いてあったし！　好きなブック使った方が集中力が上がってミスもしにくくなるんですよ！

　結局最後はアナログな理由により、アレスコインで強行することにしました。いよいよマネさん、四号さん、つしさんという豪華メンツによる試合が始まります。




　一番手のマネさんは開幕リンカネ→クリがギガンテのみという事故スタート。二番手の四号さんは手札にコロッサス・タラスク・プリン・クラストと、わかりやすいプリンブックであることを示しつつもダイスは４。三番手の つしさんはフォーサイトで引いたアベンジャーを左上砦横の火土地に配置。このアベンジャーが試合の大きな焦点になります。四番手の私は手札にサンクタム・イントルード・コインと、四号さんに負けず劣らずのわかりやすさです。

　私は誰かが素のサンクタムで殺せるクリを配置した瞬間にイントルードを行使する構えでしたが、当然そんな都合の良いことは起こりません。とりあえずアレスを配置するために火土地確保に全力を注ぎます。一方開幕で事故ったマネさんは、度重なる四号さんや つしさんの厨侵略を受けて早くも疲弊気味。マネさんて、なぜかいつも厨妨害を受けているような気がします。こういうキャラなんでしょうか。

　私の最初の周回直前、四号さんと つしさんがトレスパスを使用。つしさんは、私の周回を期待して手持ち70Gを残してアベンジャーをレベル３に。これにはカチンときました。私も舐められたものです。当然 たいして手持ちに困っていない私は周回を無視。悶絶する つしさんを尻目にデスキートを自力地変してアレスを配置しますが、アレスを嫌った四号さんがイントルード＋コロッサスでアレスを瞬殺。予想はしていましたが、どこに置いたところで相手がイントルードでは、どうしようもありませんでした。しかしすぐに二枚目のアレスを引いてきて、風土地に配置してピースをかけます。このアレスは試合の最後まで居座り続け、場に絶大な影響を及ぼすことになりました。

　なかなかコインチャンスがないまま２枚目のコインを引いたところで、四号さんがクラスト発動。つしさんのカウンターも壊れますが、私にはそれ以上の深刻なダメージです。そんな中、なんだかんだでトレスパスで稼いだ つしさんがアベンジャーをレベル５に増資。いきなり音楽が変わって若干焦りが入ります。

　とりあえず つしさんのサプレで場の止め手段を消されると苦しくなるので、つしさんのサプレをクラッシャー。四号さんは四号さんでトレードで つしさんの連鎖を切りつつ、押し付けたセイントにタラスク移動侵略と仕事を頑張ります。さらに周回無視でマネさんと つしさんのトレスパスを阻止。非常に好感が持てるプレイングです。さすが四号さんです。クラストでコイン２枚を壊されたときは いささか気分を害しましたが、もうそんなことは水に流しても良いでしょう。

　私はバーバリアンの即時移動侵略でマネさんのサクヤを撲殺しつつ初護符ゲット、グレートフォシルにランプロをかけて増資先確保と、着実に基盤を築きつつありました。なかなかいい流れです。

　四号さんの努力により、いつの間にか つしさんの連鎖が２連鎖になっていて音楽も元に戻っていましたが、今度はマネさんが地味に連鎖を伸ばして形を作りつつありました。そんな中、空気を読んだかのように私がスカルプドロー。といっても直接被害を受けそうなのはマネさんのレベル３アガマぐらいで、あとはほとんどロックシェルなので、スカルプの影響はそれほど大きそうには見えませんでした。しかし私は、他にすることもないしアガマだけでもスタチューにしとくか、という適当な理由でスカルプを発動。まさかこのときはこのスカルプにあんな副作用があるとは、想像もしていませんでした。

　マネさんも徐々に場の空気に毒されてきたのか、つしさんのヒーバルをサプレ、アマドラ配置時にエグザイルを残してワイグロを生贄、さらにアマドラ領地能力で つしさんのスタチューを焼きにかかったりと、どんどん走りブックのプレイングにあるまじき方向に迷走していきます。

　この空気を作り上げた男、四号さんはもちろんこんなレベルではありません。レベル５アベンジャーが待ち構える左上区画にシンクを携えて突入を慣行し、直踏み狙いのシンク厨打ち込み。ダイスは不発に終わりましたが、ヒーバルをサプレされている つしさんには被害甚大。さすが四号さんです。なんというナイスガイでしょうか。実に利用価値のある男です。

　つしさんはもうこちら側の人間になるしかないと踏んだのか、マネさんのエグザイルをセフト。試合は泥沼の展開の様相を呈しつつありました。

　仕事のし過ぎでずっと最下位だった四号さんですが、ここにきて つしさんと私がレベル４タラスクにはまってしまい、得た資金で四号さんはミスクウイングをレベル４に。もはや時代は四号さんのものでした。四号コールが聞こえてくるかのようです。

　そんな中、事件が起こりました。つしさんがあろうことか、ハゲタカドラゴンを手札にマネさんのレベル４マッドマンに踏み込んだのです。いったい何をやっているのでしょうか。ハゲタカドラゴンごときにマッドマンが倒せるはずがありません。しかし つしさんは、全く迷いのないカーソル捌きで悠然とハゲタカドラゴンを繰り出します。彼はいったい何をトチ狂っているのかと、私は哀れみの念すら抱いたものでした。そして結果のわかりきった戦闘が始まります。


「マネーダのマッドマンは破壊された」


　あれ？　なんかマッドマン、異様に弱かったですね。

　ああなるほど、スカルプのせいですか。

　ははは、嫌だなぁ、この私が、つしさんの正気を疑うなんてことが、あるわけがないじゃないですか。スカルプを打ったのはこれが狙いですよ。全て計算通りです。ナイススカルプ。さすが俺様です。

　ちなみにこのハゲタカドラゴン改めボルカニックドラゴンは、すぐに四号さんのコロッサスに撲殺されてました。合掌。

　度重なる厨行為にすっかり気が滅入っているかに見えたマネさんでしたが、めげずにサクヤをレベル４に。私は「あんたはもうとっくにこっち側の人間なんだよ」と言わんばかりにサクヤにパラライザーを適当打ち。マネさんは開き直ったのか、周回を無視してロックシェル＋カウンターアムルで水レベル５アベンジャーを落として、即時ピース！　総魔力は6726G、砦は両方回っており、城まで５歩。一気にリーチです。

　しかし つしさんの手札にはセフトしたエグザイル、パーミを使いたいタイミングでしたが、当然エグザイルをレベル５ロックシェルに。この場面、マネさんはピースをあえて張らないか、あるいはマッドマン＋カウンターでも良かったのではないかと思ったのですが、つしさんはパーミから使うとタカをくくっていたのでしょうか。いつまでそっち側の人間でいるつもりなのかと、認識の甘さに呆れるばかりです。

　つしさんはガスクラ移動侵略で四号さんからレベル４を取り戻しますが、もうこの程度の出来事はたいしたイベントではないように思えてきました。あきらめの悪いマネさんはもう一度周回無視でロックシェル即時移動でレベル５を取りに行きます。再びリーチですが、四号さんの手札にはイントルード、しかしクリーチャーがいません。なんでもいいから何か引けばレベル５陥落なのですが、と思ってたら引いてきたのはバーンタイタン、すかさずロックシェルに照準を合わせてレベル５を奪取！


　四号！　四号！　四号！


　何やら幻聴が脳内でこだましていましたが、四号さんの総魔力は6907G、まだ砦は回っていないため、このターンの達成はありません。しかし四号さんの手札にはリンカネ、何かを引かれたら次のターンの達成もありえます。私は四号さんのレベル４タラスクの隣にスカイギアを配置していました。

　ここは周回を無視して四号さんのタラスクを落としに行くべきか？と悩みつつダイスを振ると出た目は１、四号さんのレベル４ミストウイングです。一瞬これで試合が終わったかと思いましたが、よく見ると私の手札にはスカイギア＋アレスが揃っていました。当然ミストウイングを撃破。次のターン、四号さんのドローは素でシンク！　危ないところでした。ただ、ダイス３以上なら私はおそらく周回を無視して四号さんのレベル４タラスクを落としに行っていたので、おそらく私が２を出さない限り四号さんの達成はなかったと思います。

　この場面、むしろミストウイング直踏みで良かったと思いました。周回を無視してタラスクを落としに行っていたら、四号さんとの関係に亀裂が走っていたことでしょう。この試合、四号さんの協力が得られなければ勝ちはないと考えていた私としては、四号さんの機嫌を損ねるわけにはいきません。直踏みならば「踏んだんだからしょうがないよね」ということで情状酌量の余地はあります。

　この後、このスカイギアは四号さんのアマドラに速攻で焼かれるのですが、この程度の代償は四号さんを敵に回すことに比べれば安いものでしょう。

　すでにラウンド数は30Rを経過。長い終盤戦は続きます。マネさんはマヒしたレベル４サクヤをロックシェルに交換。四号さんはレベル４タラスクにフィストファイト、レベル５タイタンに打つのもありかと思いましたが、隣の私のスカイギアも警戒しなくてはならないのでやむなしといったところでしょうか。しかしこれが裏目に出て、つしさんがレベル５を直踏み、ガスクラでレベル５を奪還します。さらにレベル４の空き地にガスクラを移動させて、なんちゃって水３連鎖で総魔力は6692G、うさんくさく達成圏内まで伸びて来ます。手札にはミラーがあるため、アレス場でもなかなかガスクラは落ちません。

　つしさんの手札スペルはヘイスト・セフト、私の手札スペルはクラッシャー・ドレイン・ドレイン・ファインド。クラッシャーでどちらかを壊すべき場面だと思いましたが、さてどちらを壊すべきか？　クラッシャーの対象に つしさんを選んだところまではセフトを壊すつもりでしたが、直前で気が変わってヘイストを壊すことにしました。この混沌とした場であえて つしさんに選択肢を与えて、つしさんを心理的に追い詰める作戦です。その後使ったファインドで私はパラライザーをドロー、おあつらえ向きのダイスでレベル５ガスクラの隣にサンクタムガードを横付け。対戦者一同もうなり声を上げます。

　次のターン、四号さんはレベル４ガスクラにフィストファイトを打ち込み、隣のスタチューをコロッサスに交換。完全に四面楚歌です。これで つしさんのための舞台は整いました。
さあ踊れ。踊って自爆しろ。

　つしさんは悩んだ末、パラライザーをセフト。ここまでは予想通りです。問題は領地指示、手札にはトケビ、フィストファイト付きのレベル４ガスクラをどうするべきか？　次のターン、四号さんのダイスが５以上なら確定でガスクラが落ちてしまいます。しかしトケビで売れば私の２枚のドレインが火を噴きます。かといって空き地にガスクラを逃がすのも面白くありません。手札にはケットシーもありましたが、水土地なので交換不能。自力地変してもコロッサスに落とされることには変わりありません。まさに八方塞がりです。

　結局つしさんは悩みに悩んだ挙句、トケビに交換してレベル４を売却。当然私はノータイムでドレイン、得た資金でグレートフォシルをレベル５に！　一気に勝利が見えてきました。

　ちなみにこの場面、つしさんの最善手は「ガスクラをグレートフォシルに移動侵略」でした。後で聞いたところ、マネさん以外誰も気付いてなかったそうです。いやあ、カルドって怖いですね。

　私は次のターンも つしさんにドレイン、これで総魔力は7170G、砦は回ってませんでしたが、城に着けば達成です。障害は四号さんのレベル４タラスクのみ、しかしダイスはレベル４タラスクを越えられず、仕方なく反対側に回ります。次のターン２が出ればタラスクを踏んでしまいますが、そこさえ越えればゴールが見えます。私は自分の勝利を確信していました。そして次のターン。



　神よっ・・・・・・！　俺を祝福しろっ・・・・・・！



　出た目は２。クソガー。

　フィストファイト付きタラスクはどうやっても落ちないため、仕方なくスカイギアをフェイトに移動侵略させてコインを狙いますが、四号さんは無情にもミラーを選択。あまりのことに視界が歪み、私は護符を売り払って増資資金を作るべき場面で中途半端に護符を売ってターンを終了。

　一方、マネさんはレベル４ロックシェルをトランスして増資資金を作り、４連鎖で態勢は十分。「もうダメだ、マネさんに上がられる」とすっかりダメ人間と化した私は、移動侵略でレベル５フォシルを剥がした四号さんのコロッサスをトレードで確保した上、ティラノサウルスを再度フォシルに交換と、とことん守りに入ってしまいました。

　しかしここまでの展開で大きな精神ダメージを受けていたのはマネさんも同じだったようで、レベル５まで上げれば達成する場面でなぜか中途半端にレベル３に増資。いくら つしさんの手札にパラライザーがあるとはいえ、確定で落ちる土地はないのだから弱気過ぎではないでしょうか。次のターン、マネさんのダイスは７で、城に到達してしまいます。仕方なく迂回するマネさん。
勝負はまたわからなくなってきました。

　つしさんはパラライザーをマネさんのレベル４スタチューに打ち込み、風土地のケットシーを水に自力地変して３連鎖。総魔力を6920Gまで上げてきますが、手札はクリーチャーのみ、あと一押しが足りません。マネさんはエスケ即打ちで、城までの距離を２まで詰めます。マネさんか つしさんかという最終盤でしたが、ここで四号さんのドローはイントルード！　高速移動するカーソルがマヒしたレベル４スタチューに向かい、タラスクが牙を剥いてスタチューを破壊します。



　さすが四号さん！　俺たちにはできないことを平然とやってのけるッ、そこにシビれる！　あこがれるゥ！



　しかしこのタラスクはすぐに つしさんのロックシェルに殺されてしまいました。四号さんに敬礼。

　あーこりゃもう つしさんの勝ちかなーと、私はすっかり惜敗確保モードに入っていました。先ほどのターンも、確実に避けられるレベル５を反対から回って踏みのリスクを犯してしまい、「まあブラックアウトあるし別にいいや」とセプターとして恥ずべき思考に浸る有り様です。この状況で私の上がり目など、誰一人として想像していなかったでしょう。

　しかし、私のドローは・・・・・・ドレインマジック！　マネさんの手持ちは2000G以上！
　城まで６歩！


　飛んだぞっ・・・・・・！　眠気がっ・・・・・・！


　これは神がもう一度私に勝てと言っているのでしょうか。いや、そんなはずはありません。私が高額地手前でドレインマジックを打ったときの踏み確率は経験上、５割強です。これは、鬼引きでぬか喜びした挙句また地獄に落ちる哀れなピエロを演じろという、何者かの陰謀に違いないのです。しかし、陰謀だろうがなんだろうが、もうドレインを打つしかありません。どうせ一度はあきらめた勝利です。私は「BASも食らわば皿まで」とばかりに、意味もなくマネさんのカウンターをクラッシャーで破壊し、さらに予定通りにドレインマジック。これでBASを発動させる準備は整いました。
さて、潔く１を出して笑いを取りますか。


「これで１出したら目の前がブラックアウトだな」
「な・・・・・・何を言い出すんだボイラーズさん・・・・・・！（一同爆笑）」

　言っちゃうか、こんなことも・・・・・・！



　いや、言いませんでしたが。とりあえずダイスを振ります。






　出た目は、７。





　ファンファーレが鳴り響くまで、自分が勝ったのが信じられませんでした。